2015年12月30日水曜日

1-4:入力インピーダンスと出力インピーダンス

やらない夫
今回は入力インピーダンスと出力インピーダンスについて勉強していく。

やる夫
またインピーダンスの話かお。それは何の役にたつんだお?

やらない夫
オーディオの接続の基本に「ハイ受けロー出し」という言葉がある。ギターをやってる人は聞いた事があるだろう。これは高い入力インピーダンスで信号を受けて低い出力インピーダンスで信号を出力しようという意味だ。

やる夫
なんだかよく分からないけどオーディオの接続について理解できるってことかお?

やらない夫
それもあるが、ハイ受けロー出しは回路の基本でもある。とても大事なところだからしっかり理解しよう。




1.入力インピーダンスと出力インピーダンス


やらない夫
簡単な信号増幅器のモデルを例にとって見ていこう。


やる夫
信号増幅器っていうのはその名の通り信号を大きくする回路かお。このモデルはどういう意味なんだお?

やらない夫
Zinの両端にかかっている電圧をA倍して、Voutとして出力する。
ここで、Zinが入力インピーダンスZoutが出力インピーダンスだ。
ここでは信号増幅器としているが、この入力インピーダンス、出力インピーダンスという性質はすべての回路が持っている。つまりどんな回路もブラックボックスとして見たときは上の図と同じようなモデルで考えられるってわけだ。

やる夫
回路を入力端子から見たときの抵抗成分が入力インピーダンス、出力端子から見たときの抵抗成分が出力インピーダンスかお。
ぱっとしないけど、あまり深く考えずとりあえず話を聞いていく事にするお。

やらない夫
まぁ色々な回路見ていくうちにわかると思うから、とりあえず聞いてくれ。
以下、入力インピーダンスを「入力Z」、出力インピーダンスを「出力Z」と書くことにする。

まずは入力Zについて考えていこう。



やる夫
増幅器に信号源で信号を入力している図だお。

やらない夫
この信号源も回路だから出力Zを持っている。信号源の出力Zを”Z1”とするぞ。
このときの増幅器に入力される電圧Zainを求めてみよう。

やる夫
Vainを求める計算はまたまた抵抗分圧の式だお。もう何度もやってるから余裕だお。



やらない夫
この式からわかることは何だ?

やる夫
信号源側からはVinという電圧を入力しようとするお。でも実際入力される電圧Vainは必ずVinより小さくなってしまうお。

やらない夫
そういう事だ。少し具体的な例を見てみよう。
信号源の出力Zを1k[Ω]、増幅器の入力Zを100[Ω]とした。
こんな感じで、増幅器の入力Zが低いと、本来入力したいVinよりもかなり低い電圧が入力されることになってしまう。
入力インピーダンスが低いせいで、入力信号が減衰してしまうというわけだ。


やる夫
そういうことかお。つまり、Vinを減衰させずに入力したければ、入力インピーダンスは高いほうがいいってことかお。

やらない夫
そういう事だ。
なんでもかんでも入力Zがデカければいいというわけではない(インピーダンスマッチングとか・・・)が、基本的にはそういう認識でいいだろう。

次は出力Zだ。
信号増幅器の出力にある回路を繋いだ。これはイヤホンとかスピーカーとか、そんなのを繋いだと思っておけばいい。ここではそれを単純な抵抗Z2で表した。
信号増幅器の出力電圧Vaoutを考えてみよう。


やる夫
式の立て方はさっきと同じだお。
Voutを出力したつもりが、Vaoutでは小さくなってしまうお。

やらない夫
それもさっきと同じだな。具体的な例を見てみよう。

やる夫
増幅器の出力Zが大きいと、せっかく増幅した信号も減衰して出力されてしまうお。
つまり、出力インピーダンスは小さいほうがいいって事だお。

やらない夫
そういう事だな。
イメージ的な話をすると、出力Zが大きいって事はその回路が出力できる電流が少ないって事になるよな(抵抗は電流を流しにくくする素子だから)。電流が少なければ負荷(次段の回路)を満足に駆動できないってわけだ。抵抗っていうのは電流を流すことで電圧を得るものだからな。

ちなみに、インピーダンスの低い負荷を「重い負荷」って言ったりする。「重い」っていうのは、電圧を得るためにたくさんの電流が必要で、大きな電圧振幅を得るのが大変だからだ。この表現は覚えておいて欲しい。

やる夫
わかったお。
ハイ受けロー出しがどういう事なのかは理解したお。

やらない夫
次は回路で最も重要なパーツともいえる「オペアンプ」について見ていくぞ。


[次]1-5:オペアンプの基本回路


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